2012年に新卒で入社後、開発部に配属。2016年に新設された開発製造部営業課を経て、2018年から薬機部薬機課にリーダーとして着任、現在は薬機部の部長を務める。製造販売業者の総括製造販売責任者の職に従事する。
薬機法を一つももらすことなく守ること
―薬機部の仕事内容を教えてください
薬機部は2018年に新設された部署ですが、役割としてはすでにあったもので、製造販売業者としての法的責任部門の指揮系統を一つにまとめた部署です。
薬機部の仕事を一言で言えば、「マキチエがメーカーとして医療機器を合法的に出荷するために必要な諸手続きをする部署」です。薬機法の目的は「国民の健康、生命を守ること」で、医療機器や医薬品などは安全性や有効性を担保されたものでないと国内で流通させることができません。製品の品質や有効性、安全性、適切な情報提供について規制されており、製品そのものだけでなく、生産の仕組み、流通方法に至るまで、きめ細やかに規定されています。メーカーとしてそれらを一つももらすことなく守れるようにするのが、私たちの役目なのです。
日々、信頼に足る製品を管理・維持する
―補聴器における薬機法について教えてください
補聴器は厚生労働省によって認証された管理医療機器であり、定められたレベルでの品質、有効性、安全性が確保されています。認証されていないものは「補聴器」と名乗ることはできません。各メーカーの独自基準で出荷しているものは、「集音器」などと呼ばれます。マキチエは先生や病院を通じて販売していることが強みですから、医療機器としてきちんと認証され、一定水準が確保できていることは必須です。
薬機法で定められた医療機器の製造管理や品質管理の方法も遵守する必要があります。これをきちんと維持するために、品質マネジメントシステムを構築し、日々改善を行っています。また、この品質マネジメントシステムとほぼイコールと考えていいのが、「ISO13485」です。マキチエ茅場町工場はISO13485を取得しています。ISOは国際標準であるため、これにより海外含めて社外への信用を得ることが出来ます。その認証を維持することも大事な役目です。ISO13485は取得後も維持のために厳しい審査があり、これをきちんと維持するために、日々改善を行っています。
「攻め」の薬機部でありたい
―具体的な業務内容を教えてください
薬機法を守るため、開発部や製造部と連携し、全体的な管理を行っています。具体的な業務、役割をわかりやすく表現するなら、薬機部はマキチエの「アクセル」であり、「ブレーキ」であると思います。「アクセル」とは、薬機法の遵守です。薬機法を遵守することで、製品を信頼ある補聴器たらしめることができるのです。
一方の「ブレーキ」とは、薬機法違反とならないよう監視とリスクヘッジをすることです。昨今大企業の不祥事が取り沙汰されるなか、企業活動を適切に監視してく必要性が高まっており、もしも違反があると多額の罰金、営業停止、信用の墜落など取り返しのつかないことになってしまいます。ですから、できる限りビジネス的な効果を実現できるよう、法律と照らし合わせて解釈し、結論を導き出すようにしています。「攻め」の薬機部でありたいと思っています。
課題があるということは、伸びしろがあるということ
―今後の課題や目標を教えてください
自分の未熟さ、勉強不足を日々痛感し、もっと勉強しなければと感じています。課題は組織や自分自身を含めてありますが、逆に言えば伸びしろがまだまだ残されているのだと思います。
また、薬機の仕事をしていると、どうしても法律の方ばかり見てしまうので、自戒の念も含めて、製品の先に患者様がいることを忘れないよう心がけています。法的には補聴器として認められていても、お客様の理想とする補聴器にはまだまだギャップがあります。せっかく製品を生み出す仕組みに携わっているのですから、活かしてそのギャップを少しでも埋めたいです。