1945年創業の老舗補聴器メーカー、マキチエ。医師と日々コミュニケーションを取りながら、補聴器の製造から販売までを一気通貫で行っています。日常の装用で不便を感じさせない製品改良のほか、DXを用いた顧客管理や健常者向けの新しい補聴器の開発など、斬新なアプローチと高い技術力で補聴器業界を牽引。今回は新たな挑戦に向けて仲間を募集するにあたり、マキチエの先進的な取り組みや大切にしている思いについて、代表取締役社長の平松知義氏にお話を伺いました。
出典:ビズリーチ 公募ページ「マキチエ株式会社」(2022年9月8日公開)より転載
補聴器の開発から販売、
普及まで一手に担うパイオニア
── はじめに、マキチエの事業内容やその特徴についてお聞かせください。
マキチエは、1945年創業の電気店朝山電気商会から独立する形で1977年に設立された日本の補聴器メーカーです。病院で補聴器の相談をするために生まれた会社でありますが、その後補聴器の開発製造から販売、修理までを一貫して行う補聴器の総合企業へと成長。設立から現在に至るまで、いまだ普及率の低い日本市場において補聴器を必要とする方へ届けるべく尽力してきました。
われわれは先代社長が掲げた「補聴器は病院や医師を介して販売されるべきである」という信念を大事にしています。なぜなら、それこそがお客様の安心、安全、信頼につながるからです。マキチエでは全国の大学病院、耳鼻科医といち早く連携して信頼関係を築き、病院を通した補聴器販売のパイオニアとして事業を展開しています。
── 補聴器業界におけるマキチエの独自性や強みは何でしょうか。
現在国内で流通している補聴器の多くは海外ブランドの輸入品なのですが、日本の消費者の肌色や耳の大きさに合わないといった課題があります。一方で、補聴器の国内メーカーはほんの数社と少ないのが現状です。そうしたなか、私たちは設立当時から日本の消費者の肌色や耳の形に合わせた補聴器をつくることにこだわってきました。そこは、マキチエならではの特長だといえます。
もう一つの強みとして、製造だけではなく販売まで一貫して行っている「ハイブリッド経営」が挙げられます。販売チャネルとしては直営店にこだわり、日々変化するお客様の耳の状態に合わせて、他社製品を含めた多彩なラインナップからお客様にとって最適な補聴器を提供しています。
また、全店舗が「認定補聴器専門店」として認められており、全販売員が「認定補聴器技能者」もしくは養成課程にあります。高度な専門知識をもって販売にあたり、購入後のアフターフォローまで丁寧に行うことで、お客様が安心して補聴器を購入できる体制を整えています。
今後拡大していく市場で
見据える
新たなビジネスチャンス
世界初のリチウムイオン充電式補聴器
── 補聴器市場は今どのようなフェーズを迎えているのでしょうか。
日本は2040年まで高齢者が増加し続け、平均寿命もさらに延びていくといわれています。このような将来を鑑みると、補聴器市場は今後しばらく拡大の一途をたどると考えられるでしょう。また、補聴器の普及率にも伸びしろがあります。日本において、補聴器を必要としている人のうち、補聴器を実際に使っている人の割合はわずか14%程度という試算があるためです。
普及しきれていない主な要因としては、「医師の手元まで商品が行き届いていない」「医師が患者様に補聴器を勧められていない」「患者様が補聴器を購入しない」「購入したものの使用されない」という4点が挙げられます。課題は多岐にわたりますが、一方でこれはニーズの裏返しでもあり、チャンスだと考えています。
多くの方が「補聴器をどこで購入すればいいのかわからない」「どのような補聴器が自分の耳に適しているのかわからない」といった壁にぶつかっている。そして、本来補聴器を使うべき方がまだその必要性に気付いていない。マキチエはそういった方々に適切な情報をお届けし、よりよい生活を送っていただけるよう、日々補聴器の普及にも励んでいます。
データ管理DXから
「エンタメ用補聴器」まで、
描くビジョンは大きい。
── マキチエがこれまで注力されてきた取り組みについて教えてください。
私たちは今まで業界初といえるようなさまざまな挑戦に取り組んできました。その一つが、2015年7月にリリースした、世界初の「リチウムイオン充電式補聴器」です。
従来の補聴器は小型のボタン型電池を使用するタイプが主流でしたが、電池寿命に課題がありました。通常、電池がもつのは1~2週間程度。そのため患者様は頻繁に電池交換をしなければならず、煩わしさがあったのです。
こうした問題意識にもとづき、電池式のより良い補聴器を開発するのではなく、そもそも「電池交換を必要としない補聴器」の開発を目指しました。その後10年もの年月をかけて電池メーカーと試行錯誤を重ね、十分なバッテリーを搭載した充電式のワイヤレス補聴器の開発に成功しました。
そのほか、日本で初めてとなる「耳鳴りの治療機能を備えた補聴器」も開発しています。使われているのは音響療法といって、あえて耳に小さな音を入れることで耳鳴りへの意識を軽減させ、気にならないようにするというものです。
もともと補聴器とは別に「サウンドジェネレーター」という治療器があり、難聴を伴わない耳鳴りに使われてきました。聞こえをよくする補聴器と、耳鳴りを治療するサウンドジェネレーターの機能を合体させたことで、耳鳴りの治療にも効果のある補聴器を新たに生み出したのです。
これまでの補聴器の常識を
覆す、
驚きとインパクトある
製品開発を
2022年8月発売のフリーフィットタイプの補聴器
── 今後の成長戦略や、事業のビジョンについてお聞かせください。
マキチエでは現在、お客様の「聞こえの見える化」に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。というのも、補聴器事業は購入がゴールではないからです。購入した後もお客様それぞれの耳の状態や聞こえ方に合わせて調整する必要があり、継続的なアフターフォローが重要になります。
しかしながら、これまでは購入した店舗にしかお客様情報がなく、十分なサポート体制が整えられていませんでした。そこでマキチエは、お客様の聴力や補聴器の調整具合、聞こえの感じ方などの各種情報を、徹底してデータ化しました。すべての店舗で顧客データを共有できれば、お客様がどの店舗を訪れても同じサービスを受けられるようになりますし、販売員もお客様に適切なサービスを提供できるので、双方にメリットが生まれます。ゆくゆくは、蓄積したデータを活用することで、製品開発や販路拡大など、新たな分野にも生かせるのではないかと考えています。
また、従来の補聴器とは異なる新たな製品開発にも挑戦しているところで、補聴効果の拡大やウエアラブルとしての機能向上のほか、疾患に限定されない新たな補聴器の開発を検討中です。
たとえば、遠くにいる人の声を聞き取りやすくする補聴器や、体温・脈拍・血圧などを測定できる健康管理に役立つ補聴器、あるいはエンターテインメントとして音を楽しめる補聴器など、耳に不調のある方だけでなく健常者をもターゲットにしたアイデアがいくつも生まれています。「補聴器メーカーがこんなものをつくっているの?」と驚かれるようなインパクトを業界に次々と与えていきたいです。
── 補聴器のイメージを覆すようなワクワクする構想ですね。販売事業についても何か展望をおもちでしょうか。
はい。引き続き、直営店販売にこだわりつつも、いずれはその接客水準と同等の安心安全を担保したネット販売を実現したいと考えています。マキチエではすでにオンライン販売の仕組みを構築しており、あとは安心安全の仕組みをどのように搭載するかを模索しています。
ほかにも、卸売業については海外進出を視野に入れていますし、医師の方々との関係についてもさらなる強化を目指しています。医師の皆様や患者様に価値ある補聴器を提供し、そして私たち自身も補聴器についての理解を深め、三方よしの形で補聴器業界を牽引していきたいと思っています。
社員一人一人の声を聞き、
ボトムアップ型の
変化に強い組織へ
── マキチエで働く醍醐味や、仕事のやりがいについて教えてください。
まず、医療分野で働くこと自体に大きな醍醐味があると思います。そもそも補聴器という商品は、聞こえにくさを抱える方の困りごとを解決するために存在しているので、患者様に心から喜んでもらえる場面に数多く出会います。
私自身もマキチエで営業を経験するなかで、初めて補聴器を購入された患者様が涙を流して喜ばれるようなシーンに何度も遭遇してきました。「困っている方に貢献できている」「価値のある商品を提供できている」。そんな強い実感をもって働ける環境だといえます。
また、マキチエは病院や医師の方々から非常に厚い信頼を寄せていただいています。コロナ禍という対面コミュニケーションが難しい情勢においても、マキチエの営業担当は医師と密に連携し、従来と変わらないコミュニケーションを続けています。これは、長年大学病院や医師と関係を築き、信頼を勝ち得てきたマキチエならではの功績です。こうした太いネットワークのもとで新たな挑戦に取り組めるので、やりがいも大きなものになるでしょう。
さらに販売の場面においては、老若男女幅広い層のお客様と接し、さまざまなお困りごとに丁寧に寄り添います。そうした経験を繰り返すなかで、どんな業界でも生かせる高いコミュニケーション能力が養われるはずです。
── マキチエは今、組織改革にも注力されていると伺いました。どのような改革を進めているのでしょうか。
先代社長の頃は、社長の意思を起点として事業展開を進めてきました。現在は、スピード感など従来の良さは残しつつ、より組織力を高めるべくボトムアップの経営スタイルへ移行しています。すでに、働き方や評価制度、コミュニケーション活性化において改革が進んでいます。
働き方に関しては、昨今の改革により1日8時間だった勤務時間を7時間に短縮、育児休業100%取得などを達成しています。評価制度でも「見える化」と「標準化」を目指しており、社員の頑張りが正当に反映され、自分の給与を自分で上げていけるような評価の仕組みを導入しました。
コミュニケーションの面では、新しく営業支援ツールを導入して社員同士の自由闊達な議論を促進したり、社員一人一人が社長である私と1on1でコミュニケーションが取れる場を設けたりしています。社長自ら積極的に社員の声を拾いにいくことで、ボトムアップの組織づくりに生かしています。
今後も制度のブラッシュアップを続け、社員一人一人が自分らしく働ける環境を整え、現代の世の中の急速な変化にも対応できる強い組織をつくっていく予定です。
スキルよりも
「人を幸せにしたい」という
強いマインドを重視
── どういった方に仲間になってほしいですか。
コロナ禍を経験し、私たちはより変化に強い組織にならなければならないと強い危機意識をもっています。変化に強い組織になるためには、業界や職種、国籍さえも超えて、さまざまなバックグラウンドをもつ多様な人材にご入社いただく必要があります。
そのため、マキチエではスキルよりもマインドを重視しています。「社会に貢献したい」「高齢者や耳の聞こえにくい方をサポートしたい」「人を幸せにできる仕事に関わりたい」という思いをもった方にぜひきていただきたいです。スキルに関しては入社後にしっかりと身につけていただける場を提供していますので、ぜひ安心してご応募いただきたいですし、皆様の熱い思いを聞かせていただけたらと思います。
── 最後に、記事をご覧の方へメッセージをお願いします。
マキチエは今、私はもちろんのこと、社員一丸となって組織のあるべき姿を考え、変革に取り組んでいます。会社から言われたことをこなすのでなく、自ら仕事をつくり、新しいことにチャレンジしたいという気概のある方を心からお待ちしています。たとえ失敗しても大丈夫です。マキチエは社員のチャレンジを全力でサポートする体制を整えていますし、失敗した経験を血肉にかえてご自身と会社の成長に生かしていただきたいと思っています。
補聴器メーカーでありながら、補聴器の枠にはとらわれない新たなビジネスを今後さらに展開していきますので、自身の経験を生かして新天地で活躍したいという方は、お話だけでも聞きに来ていただけたらうれしいです。